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東京地方裁判所 平成4年(特わ)1420号 判決 1992年12月22日

本店所在地

東京都大田区城南島二丁目八番八号

有限会社

雪ヶ谷運送

(代表者代表取締役 齋藤五月)

本籍

同区下丸子二丁目一六一番地

住居

同区城南島二丁目八番八号 有限会社雪ヶ谷運送内

会社役員

齋藤五月

昭和一二年六月三〇日生

主文

被告人有限会社雪ヶ谷運送を罰金三、〇〇〇万円に、被告人齋藤五月を懲役一年に処する。

被告人齋藤五月に対し、この裁判の確定した日から三年間刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人有限会社雪ヶ谷運送(以下「被告会社」という。)は、東京都大田区城南島二丁目八番八号(平成元年七月三一日以前は同区矢口三丁目九番一〇号、昭和六二年八月二五日以前は同区下丸子二丁目二八番一号)に本店を置き、貨物自動車運送事業等を目的とする資本金五、〇〇〇万円の有限会社であり、被告人齋藤五月(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していた。被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと考え、架空人件費を計上したり、雑収入の一部を除外するなどの方法により所得の一部を隠して、

第一  昭和六二年七月一日から昭和六三年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億八一九万七九六円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、同年八月三一日、同区蒲田本町二丁目一番二二号にある所轄の蒲田税務署において、税務署長に対し、その所得金額が四、八四三万三五七円で、これに対する法人税額が一、九二四万三、六〇〇円であるという虚偽の内容の法人税確定申告書(平成四年押第一、一九五号の1)を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額四、四三四万二、八〇〇円と申告税額との差額二、五〇九万九、二〇〇円(別紙4税額計算書(1)参照)を免れた。

第二  昭和六三年七月一日から平成元年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億二、九九九万九八円であった(別紙2修正損益計算書参照)のに、同年八月三一日、同区中央七丁目四番一八号にある所轄の大森税務署において、税務署長に対し、その所得金額が五、〇三三万一、二〇五円で、これに対する法人税額が一、九九八万四、八〇〇円であるという虚偽の内容の法人税確定申告書(同号の2)を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額五、三四四万一、六〇〇円と申告税額との差額三、三四五万六、八〇〇円(別紙4税額計算書(2)参照)を免れた。

第三  平成元年七月一日から平成二年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億七、〇二四万四、七一八円であった(別紙3修正損益計算書参照)のに、同年八月三一日、大森税務署において、税務署長に対し、その欠損金額が一、八五八万九二五円で、納付すべき法人税はないという虚偽の内容の法人税確定申告書(同号の3)を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額六、六三二万七、七〇〇円(別紙4税額計算書(3)参照)を免れた。

(証拠)

(注)括弧内の算用数字は、押収番号を除き、証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

全事実について

1  被告人の

<1>  公判供述

<2>  検察官調書八通

2  松本実(四通)、伊賀謙之助、窪田久直の検察官調書

3  一般運送収入調査書、賃金調査書、外注労務費調査書、雑費調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、受取地代調査書、道府県民税利子割調査書

4  商業登記簿謄本

第一の事実について

5  賞与手当調査書、役員賞与損金不算入調査書

6  通信費調査書

7  捜査報告書二通(甲14、20)

8  電話聴取書(甲35)

9  法人税確定申告書一袋(平成四年押第一、一九五号の1)

第二の事実について

前記7の証拠

10  旅費交通費調査書、事業税認定損調査書

11  捜査報告書三通(甲9、16、24)、調査報告書(甲42)

12  電話聴取書(甲36)

13  法人税確定申告書一袋(同押号の2)

第三の事実について

前記5、10、11、12の証拠

14  鎗田彰弘、秋山正一の検察官調書

15  尾上政明の国税査察官質問てん末書

16  軽油仕入調査書、給料手当調査書、支払手数料調査書、販売促進費調査書、受取保険金調査書、申告欠損金調査書

17  法人税確定申告書一袋(同押号の3)

(法令の適用)

罰条

被告会社について いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)

被告人について いずれも同法一五九条一項

刑種の選択

被告人について 懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段

被告会社について 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)

被告人について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に加重)

刑の執行猶予

被告人について 刑法二五条一項

(出席した検察官立澤正人、弁護人神崎正陳)

(裁判官 朝山芳史)

別紙1 修正損益計算書

<省略>

別紙2 修正損益計算書

<省略>

別紙3 修正損益計算書

<省略>

別紙4 税額計算書

有限会社雪ケ谷運送

(1) 自 昭和62年7月1日

至 昭和63年6月30日

<省略>

(2) 自 昭和63年7月1日

至 平成元年6月30日

<省略>

(3) 自 平成元年7月1日

至 平成2年6月30日

<省略>

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